猫の皮膚病には数多くの種類がありますが、特に「ノミアレルギー性皮膚炎」と「皮膚糸状菌症」は代表的な病気です。
本コラムでは「ノミアレルギー性皮膚炎」と「皮膚糸状菌症」の症状や原因、治療方法、予防方法について詳しくご紹介します。
猫がかかりやすい皮膚病についての知識を深めることで、愛する猫の健康と幸せな生活を守りましょう。
ノミの寄生によっておこる「ノミアレルギー性皮膚炎」とは?
「ノミアレルギー性皮膚炎」は、猫がノミに咬まれることでアレルギー反応を起こし、主に首、腰、お尻周りの皮膚にかゆみや脱毛がみられる皮膚炎です。
ノミアレルギー性皮膚炎の原因
主にネコノミという種類のノミが原因となります。
ノミが猫の血液を吸う際に出す唾液がアレルゲンとなり、激しいかゆみや発疹などの症状を引き起こします。
ノミアレルギー性皮膚炎の症状の程度には個体差があり、わずか1匹のノミが寄生しただけでもアレルギー反応が起こり、激しい皮膚炎になることもあります。
繁殖力の高いノミ
ノミは吸血後24~48時間で産卵し、その2~7日後には虫卵が羽化します。その後数週間で成虫になり吸血活動を開始し産卵を繰り返します。
このように、ノミは繁殖力が強いため、数が少なくても一気に増えてしまいます。ノミの幼虫は人間の生活環境中に生息しています。猫の身体に付着しているノミを発見した場合、ノミがすでに猫の身体や環境中に大量に生息してしまっている可能性がありますので、すみやかに猫への駆虫薬の投与と生活環境の清掃を行うことが大切です。
ノミのチェック方法
猫の被毛をブラッシングしているときに、黒い小さな粒を見つけたら、ノミの糞の可能性があります。
水で濡らしたティッシュペーパーなどに見つけた黒い粒をのせてみてください。
ノミの糞は血液の成分を含んでいるため、水に濡らすと血液の成分で赤茶色に滲みます。もし黒い粒の周りが赤茶色に滲んでいれば、それはノミの糞である可能性が高く、猫にノミが寄生している可能性がありますので動物病院へ相談に行きましょう。
ノミアレルギー性皮膚炎の治療方法
ノミアレルギー性皮膚炎の治療にはノミの駆除が必要です。ノミを駆除するために、駆虫薬を動物病院で処方してもらいましょう。かゆみを抑えるために、ステロイド剤が使われる場合もあります。
また、ノミの幼虫は人間の生活環境中に生息しているため、室内の掃除をして環境中からもノミを取り除くことが重要です。特に猫が日常的に使っているベッドやソファ、その下など、猫がよくいる場所は重点的に掃除しましょう。
ノミアレルギー性皮膚炎の予防方法
ノミアレルギー性皮膚炎を予防するためには、ノミを猫に寄生させないことが大切です。
家の中をこまめに掃除し、猫とその同居動物にはノミ予防薬を投与しましょう。
脱毛やフケがみられたら「皮膚糸状菌症」に注意?
「皮膚糸状菌症」は真菌(カビ)が猫の皮膚や毛に感染し発症する病気です。
耳や鼻などの顔周りや、足先などの身体の末端部に円形の脱毛や赤み、フケ、カサブタがよく見られます。
皮膚糸状菌症は人獣共通感染症です
皮膚糸状菌は、猫から人にも感染します。感染した猫に触れる際は注意が必要です。人に感染した場合はかゆみのある円形の赤い発疹がみられます。
皮膚糸状菌症の原因
主に皮膚糸状菌に感染した猫や犬との直接接触や感染した毛やフケとの接触により感染します。
子猫や老猫、免疫力の低下している状態の猫での発症が多く見られます。
皮膚糸状菌症の治療方法
皮膚糸状菌症の治療には抗真菌薬の内服や外用薬の投与を行います。抗真菌成分入りのシャンプーでの薬浴や毛刈りを行うこともあります。
皮膚糸状菌症の予防方法
皮膚糸状菌症の予防としては、感染している動物との接触を避け、生活環境を衛生的に保つことが大切です。
皮膚糸状菌症の完治後も、感染した毛やフケが環境中に残っていると再感染してしまう可能性があるので、しっかりと掃除・消毒をしましょう。
実際の治療例
※過去の当社への保険金請求データをもとに、シミュレーションした事例です。
※下記の診療費等のデータは一例であり、一般的な平均・水準を示すものではありません。
- 病名
- 皮膚糸状菌
- ペット品種
- メインクーン
- 事故年齢
- 7か月
- 加入プラン
- いつでもパック プレミアムプラン
治療費合計:22,990円
給付率:94.8% 自己負担率:5.2%
- 給付事例の詳細はこちら
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保険金種類 治療費用 保険金支払額 自己負担 自己負担の内容 通院1日目 13,200 12,000 1,200 補償限度額超過 通院2日目 3,630 3,630 0 通院3日目 3,960 3,960 0 通院4日目 2,200 2,200 0 合計 22,990 21,790 1,200
皮膚糸状菌のメインクーンが治療のため4日間通院したところ、22,990円の治療費用となりました。当社ペット保険のプリズムペット プレミアムプランに加入していた場合は、21,790円が支払われ、自己負担は1,200円です。
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愛する家族を皮膚病から守るために
愛する猫の健康を守るためには、早期発見、早期治療に努めることが大切です。
病気の早期発見のために、日ごろから愛猫の様子をよく観察するようにしましょう。
かゆがっていたり、脱毛などの異常に気づいたらすぐに動物病院に連れて行きましょう。
監修者プロフィール
獣医師 藤沼 淳也
獣医学部卒業後、動物病院にて臨床業務に従事。
猫専門病院の院長を経て、現在はより良いペットの生活環境の構築に尽力。