「愛犬の毛が抜けている…」「皮膚をかゆがっている…」と心配している飼い主さんはいらっしゃいませんか?
愛犬にそのような症状がある場合、皮膚病にかかっている可能性があります。
今回のコラムでは、犬の「ノミアレルギー性皮膚炎」と「皮膚糸状菌症」に焦点をあて、症状、原因、治療方法、予防方法について詳しくご紹介します。
犬の皮膚病について学び、知識を深め、犬の皮膚病の予防と早期発見、早期治療につとめましょう。
ノミの寄生が引き起こす犬の「ノミアレルギー性皮膚炎」とは?
ノミアレルギー性皮膚炎の症状~激しいかゆみや脱毛がみられる皮膚炎~
「ノミアレルギー性皮膚炎」は、犬がノミに咬まれることでアレルギー反応を起こし、皮膚にかゆみや脱毛がみられる皮膚炎です。
ノミは犬を吸血する際に唾液を犬の体内に注入します。この唾液がアレルゲンとなり、激しいかゆみや発疹などの症状を引き起こします。
ノミ1匹の寄生でもアレルギー反応が出ることもあり、アトピーの犬はノミに対してもアレルギー反応が出ることが多いです。
犬がノミアレルギー性皮膚炎を発症すると、主に腰、腹部、後肢の皮膚にかゆみや脱毛がみられます。眠れないほどかゆがってしまうこともあります。
かゆみから患部を激しくかきむしったりかんだりして、毛が抜けたり皮膚を傷つけてしまう場合もあります。その傷口が二次感染を起こし、ただれたり化膿する場合もあります。
ノミアレルギー性皮膚炎の原因~繁殖力の高いノミはあっという間に増殖する~
主にネコノミという種類のノミが、ノミアレルギー性皮膚炎の原因となります。
ネコノミは体長2mmほどの茶色の虫で、犬・猫・人間…あらゆる動物に寄生し吸血します。屋外では草むらや暗く湿った場所などに生息しています。そのような場所からノミに感染したり、感染動物との接触などにより感染が成立します。
ノミは気温が13℃以上あれば、年中いつでも繁殖が可能です。そのため、犬の散歩などからノミを家につれて帰ってしまうと、知らない間に家中でノミが大量発生してしまうこともあります。
屋内は冬でも暖かく、ベッド、ソファー、カーペットなどノミが生息しやすい環境が整っています。一度繁殖してしまうと、駆除が大変になりますので、年間を通した対策と予防が非常に重要です。
ノミのチェック方法~犬の皮膚に黒い小さな粒をみつけたら要チェック~
犬の被毛をブラッシングしているときに、黒い小さな粒を見つけたら、ノミの糞の可能性があります。
水で濡らしたティッシュペーパーなどに見つけた黒い粒をのせてみてください。ノミの糞は血液の成分を含んでいるため、水に濡らすと血液の成分で赤茶色に滲みます。
もし黒い粒の周りが赤茶色に滲んでいれば、犬にノミが寄生している可能性がありますので動物病院へ相談に行きましょう。
ノミアレルギー性皮膚炎の治療方法~ノミの駆除が必要~
ノミアレルギー性皮膚炎の治療法はノミ駆除薬を投与し、ノミを駆除します。
かゆみがひどい場合は、かゆみを抑えるためにステロイド剤を使用することもあります。
また、ノミの幼虫は犬の生活環境中に生息するため、犬の治療と同時に、ノミを犬の生活環境から駆除する必要があります。部屋を念入りに掃除して、ノミを駆除しましょう。
多頭飼育している場合は、ノミが寄生した犬だけでなく他の犬やペットもノミ予防や駆除を行う必要があります。
ノミアレルギー性皮膚炎の予防~ノミの定期的な予防が大切~
犬がノミアレルギー性皮膚炎を発症しないためには定期的なノミ予防が重要です。
ノミの予防薬には、犬の皮膚に滴下する「スポットタイプ」や美味しく食べられるお肉のような味がついた「チュアブルタイプ」などさまざまな種類があります。
ノミと一緒にマダニやフィラリア、おなかの寄生虫も同時に予防できる薬もあります。獣医師と相談し愛犬にあった予防薬を選択してください。忘れず定期的に予防しましょう。
真菌(カビ)が引き起こす「皮膚糸状菌症」とは?
皮膚糸状菌症の症状~円形状の赤み、脱毛、かさぶた、フケが見られる~
「皮膚糸状菌症」は真菌(カビ)が犬の皮膚や毛に感染し発症する病気です。
皮膚糸状菌症の症状は、耳や鼻などの顔周りや、足先などの身体の末端部に出やすく、脱毛やフケ、かさぶたなどが左右非対称性に見られます。
皮膚糸状菌症は人獣共通感染症です
皮膚糸状菌症は、人から犬にも、犬から人にも感染する可能性がある人獣共通感染症です。人が感染した場合、飼い主にも同様の症状がみられます。
皮膚糸状菌症の原因~真菌(カビ)によってひきおこされる~
皮膚糸状菌症の原因は、皮膚糸状菌というカビの一種です。人の水虫やタムシの原因となる菌も皮膚糸状菌症の原因となる菌の一種です。
主に皮膚糸状菌に感染した犬や猫との直接接触や、感染した毛やフケとの接触により感染します。
皮膚糸状菌症に注意したい犬~免疫が低下すると発症しやすい~
子犬や高齢犬、免疫力が低下している状態では皮膚糸状菌症に罹患したり、悪化する可能性があるため注意が必要です。
皮膚糸状菌症の治療~再発や他の子に移さないように要注意~
皮膚糸状菌症の治療は、抗真菌薬の内服や外用薬を投与します。また、抗真菌成分入りの薬用シャンプーを用いた薬浴や毛刈りを行うこともあります。
皮膚糸状菌症の予防~清潔な環境が大切~
皮膚糸状菌症を予防は、感染している他の動物との接触を避け、生活環境を衛生的に保つことが大切です。
皮膚糸状菌症の完治後も、感染した毛やフケが生活環境に残っていると再感染してしまう可能性があるため、しっかりと掃除し消毒しましょう。
実際の治療例
※過去の当社への保険金請求データをもとに、シミュレーションした事例です。
※下記の診療費等のデータは一例であり、一般的な平均・水準を示すものではありません。
- 病名
- 皮膚炎
- ペット品種
- ジャック・ラッセル・テリア
- 事故年齢
- 5か月
- 加入プラン
- いつでもパック ライトプラン
治療費合計:12,242円
給付率:87.4% 自己負担率:12.6%
- 給付事例の詳細はこちら
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保険金種類 治療費用 保険金支払額 自己負担 自己負担の内容 通院1日目 6,545 5,000 1,545 補償限度額超過 通院2日目 2,837 2,837 0 通院3日目 1,595 1,595 0 通院4日目 1,265 1,265 0 合計 12,242 10,697 1,545
皮膚炎のジャック・ラッセル・テリアが治療のため4日間通院したところ、12,242円の治療費用となりました。当社ペット保険のプリズムペット ライトプランに加入していた場合は、10,697円が支払われ、自己負担は1,545円です。
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まとめ
「ノミアレルギー性皮膚炎」と「皮膚糸状菌症」は、前回は猫でご紹介しましたが、犬でも見られる疾患です。
ノミや皮膚糸状菌は人にも害を及ぼします。
愛犬の健康と快適な生活をサポートし、同時に飼い主自身を守るために、環境の清掃と予防はしっかりと行いましょう。
また、愛犬の皮膚の異常に早く気付き、早期に治療できるよう、日頃から愛犬をよく観察してあげましょう。
監修者プロフィール
獣医師 藤沼 淳也
獣医学部卒業後、動物病院にて臨床業務に従事。
猫専門病院の院長を経て、現在はより良いペットの生活環境の構築に尽力。