トカゲはその個性的な見た目や多様な生態から、近年ペットとして人気を集めています。ホットスポットでのんびり日光浴をしたり、周囲をじっと観察したりする姿に癒やされる人も多いでしょう。本記事では、トカゲの特徴や種類、飼育前に知っておきたいポイントを解説します。
もくじ
トカゲとは?
トカゲは、爬虫類に分類されます。爬虫類にはトカゲのほか、カメやワニ、ヘビなどが含まれます。
イグアナやカメレオン、ヤモリもトカゲの仲間で、ヘビとは近い関係にあります。

本記事では、イグアナやカメレオン、ヤモリなどを含むトカゲの仲間について解説します。
トカゲの寿命
トカゲの寿命は種類によって大きく異なります。小型の種類でも10年以上生きることが珍しくなく、中には20年以上生きる種類もいます。
たとえば、ヒョウモントカゲモドキは10~20年程度、オオトカゲでは20年以上生きる個体もいます。
トカゲとヤモリの違い
前述したとおり、ヤモリもトカゲの仲間です。ただし、一般的なトカゲとしてイメージされるニホントカゲなどとは、見た目や生態にいくつか違いがあります。
ヤモリといえば、壁や天井にくっついている姿を思い浮かべる人も多いと思いますが、実は、足裏にある無数の細かな毛状構造を利用しています。一方、ニホントカゲなどの一般的なトカゲにはこのような構造はなく、主に地面を移動して生活しています。
このほかにも、活動時間やまぶたの有無などに違いがあります。
| 項目 | ヤモリ | 一般的なトカゲ(ニホントカゲなど) |
|---|---|---|
| 活動時間 | 夜行性が多い | 昼行性が多い |
| 足先 | 足裏に細かな毛状構造があり、壁や天井に張り付ける種類が多い | 毛状構造はなく、壁面に張り付くことはできない |
| まぶた | ない(透明な膜で目が覆われている) | ある |
| 生息場所 | 壁や樹木など | 地面や草むらなど |
トカゲの特徴
トカゲと一口で言っても、世界中に7,000種以上が知られており、体の大きさや体色、生態は種類によって大きく異なります。ここでは、トカゲの仲間にみられる代表的な特徴を紹介します。
脱皮をしながら成長する
トカゲを含む爬虫類は、成長や新陳代謝に伴い、定期的に脱皮を行います。脱皮の頻度や方法は種類によって異なり、一度にまとまって皮が剥けるものもいれば、部分的に剥けるものもいます。たとえば、ヤモリの仲間では、古い皮を口で剥がしながら食べる種類もみられます。
脱皮は体の成長だけでなく、古くなった皮膚を新しく保つためにも重要な役割を果たしています。
種類によっては尻尾を切り離して身を守る
トカゲの中には、敵に襲われた際に尻尾を自ら切り離して逃げる「自切(じせつ)」という行動をとる種類がいます。切り離された尻尾はしばらく動き続けるため、敵の注意を引き、その隙に逃げることができます。
自切は、多くのトカゲやヤモリの仲間でみられる代表的な防御行動です。たとえば、ヒョウモントカゲモドキやクレステッドゲッコー、アオジタトカゲなどでも確認されています。
また、種類によっては失われた尻尾が再生することがありますが、クレステッドゲッコーのように再生しない種類もいます。ヒョウモントカゲモドキやそのほかのトカゲはしっぽに栄養を蓄える性質があります。もし、ハンドリング中に自切が起きてしまうと栄養が不足する可能性がありますので、ハンドリングする際はなるべくストレスをかけないようにしましょう。
自ら体温を調節できない変温動物
トカゲは変温動物であり、自ら体温を一定に保つことができません。そのため、日光浴をしたり日陰へ移動したりしながら、周囲の環境を利用して体温を調節しています。
変温動物であることはトカゲを含む爬虫類に共通する特徴であり、飼育下では適切な温度管理が重要になります。
トカゲの種類
ここでは、ペットとして飼育されることも多い代表的な種類を紹介します。
フトアゴヒゲトカゲ
分類:アガマ科
体長:40~60cm
体重:300~600g
寿命:10~15年
穏やかな性格で飼育しやすく、初心者にも人気の高いトカゲ。喉元にあるヒゲのようなトゲ状の鱗が特徴で、興奮すると黒く膨らませることがあります。
ヒョウモントカゲモドキ
分類:トカゲモドキ科
体長:20~25cm
体重:50~100g
寿命:10~20年
別名「レオパードゲッコー」、「レオパ」の愛称で親しまれ、ペットとして非常に人気の高いヤモリ。ヒョウのような斑点模様と、ヤモリの仲間では珍しくまぶたを持つことが特徴です。
アオジタトカゲ
分類:スキンク科
体長:40~60cm
体重:300~800g
寿命:15~20年
温厚で人に慣れやすく、初心者にも飼育しやすい大型のトカゲ。鮮やかな青い舌が特徴で、敵を威嚇する際に口を開けて舌を見せることがあります。
クレステッドゲッコー
分類:ヤモリ科
体長:20~25cm
体重:35~60g
寿命:10~15年
頭部から背中にかけて並ぶ、まつ毛のような突起(クレスト)が特徴的なヤモリ。穏やかな性格で飼育しやすく、ペットとして高い人気があります。
エボシカメレオン
分類:カメレオン科
体長:35~60cm
体重:100~200g
寿命:5~10年
頭部の大きな突起(エボシ)が特徴的なカメレオン。左右の目を別々に動かすことができ、長い舌を伸ばして昆虫を捕らえます。
グリーンイグアナ
分類:イグアナ科
体長:120~180cm
体重:4~8kg
寿命:15~20年
大きな体格と背中に並ぶトゲ状の鱗が特徴の大型トカゲ。樹上で生活する種類で、成長すると全長1.5mを超えることもあり、迫力のある見た目から人気を集めています。
トカゲを飼う前に知っておきたいポイント

トカゲは個性的な見た目や鳴き声がなく静かなことから、近年ペットとして人気を集めています。ここでは、トカゲを飼う前に知っておきたいポイントをまとめました。
種類に合った飼育環境を整える必要がある
トカゲは種類によって生息環境や生活様式が異なります。地上で生活する種類もいれば、樹上で生活する種類もおり、成体時の大きさもさまざまです。また、昆虫を主食とする種類や野菜を多く食べる種類など、食性にも違いがあります。
たとえば樹上性の種類では、ケージ内に止まり木や植物を設置し、高さのある空間を確保する必要があります。一方、地上性の種類では、隠れ家や十分な床面積を確保することが重要です。
飼育を始める前に、その種類に適した環境や飼育方法を確認しておきましょう。
| 種類 | 生活スタイル | 飼育環境の例 | 主な餌 |
|---|---|---|---|
| フトアゴヒゲトカゲ | 地上性 | 床面積を広く確保する | 昆虫、野菜 |
| ヒョウモントカゲモドキ | 地上性 | 隠れ家を設置する | 昆虫 |
| クレステッドゲッコー | 樹上性 | 高さを確保し、枝や植物を配置する | 専用フード、昆虫、果物 |
| アオジタトカゲ | 地上性 | 広めの活動スペースを確保する | 昆虫、野菜、果物 |
| エボシカメレオン | 樹上性 | 止まり木や植物を設置する | 昆虫 |
| グリーンイグアナ | 樹上性 | 登れる場所や十分な高さを確保する | 野菜、葉物 |
温度管理や紫外線対策が必要
トカゲは変温動物であり、自ら体温を一定に保つことができません。そのため、健康を維持するためには、保温器具を使用して体を温められる場所(ホットスポット)を設けるとともに、ケージ内に温度差を設け、自ら移動して体温を調節できる環境を整えることが大切です。
また、昼行性の多くのトカゲは日光浴を行う習性があり、飼育下ではUVBライトを用いて紫外線を補う必要があります。UVBは紫外線の一種で、トカゲが体内でビタミンD₃を作るために必要です。ビタミンD₃はカルシウムの吸収を助けるため、健康な骨を維持するうえで欠かせません。
トカゲに合った接し方をする
トカゲは犬や猫のように人とのコミュニケーションを目的とする動物ではありません。一方で、毎日の世話を通じて飼い主の存在に慣れ、人になついたように見える行動を示す個体もいます。
特に、フトアゴヒゲトカゲやアオジタトカゲなどは比較的人に慣れやすく、個体によっては手から餌を食べたり、飼い主に持ち上げられること(ハンドリング)を受け入れたりすることもあります。
しかし、無理に触ったり追いかけたりするとストレスを与えてしまう場合があります。トカゲの様子を観察しながら、その種類や個体のペースに合わせて接することが大切です。
トカゲの病気リスク
ここでは、トカゲの注意したい病気や異常のサインについて解説します。
骨の異常
トカゲでは、骨や顎が変形したり、手足が震えたり、歩き方がおかしくなったりする「代謝性骨疾患(MBD)」がみられることがあります。進行すると骨がもろくなり、骨折しやすくなる場合もあります。
代謝性骨疾患は、カルシウム不足やビタミンD₃の不足、UVBの不足などが原因となることがあります。予防のためには、昆虫を食べる種類の場合、カルシウムの粉を直接まぶし与えるなど種類に応じた適切な食事を与えるとともに、UVBライトを設置し、十分な紫外線環境を整えることが大切です。
脱皮のトラブル
トカゲでは、脱皮後に古い皮膚が残ってしまう「脱皮不全」がみられることがあります。特に、指先や尻尾に脱皮殻が残ることが多く、放置すると血流が妨げられ、最悪の場合は壊死してしまうこともあります。自然に取れない場合は動物病院へ相談しましょう。
脱皮不全は、種類に適した湿度が保たれていないことや、栄養状態の乱れなどが原因となることがあります。必要な湿度は種類によって異なるため、適切な飼育環境を整えることが大切です。
目や口の異常
トカゲでは、目が腫れたり、目を開けにくくなったりすることがあります。また、口の中に炎症が起こることもあり、進行すると食欲不振につながる場合があります。
これらの症状は、脱皮不全や飼育環境の問題、栄養不足などが原因となることがあります。トカゲの様子をよく観察し、目や口の異常が続く場合は、早めに動物病院を受診しましょう。
トカゲはエキゾチックアニマルに分類されるため、診察できる動物病院が限られる場合があります。万が一の体調不良やけがに備え、事前に対応可能な動物病院を確認しておくと安心です。
トカゲにおすすめのペット保険のご紹介
ペットには人間と違って公的な健康保険制度がなく、病気やけがの診療費は全額飼い主さまの自己負担です。
「ペットは言葉で伝えることが出来ません」
ペットの何気ない変化を見逃さず、動物病院へ足を運んでいただき、けがや病気の早期発見・早期治療につながるよう、ペット保険をお役立てください。

監修者プロフィール
獣医師 R・H
麻布大学獣医学部獣医学科卒業。
大学の研修医を経て、夜間救急動物病院で様々な動物の診療に従事。
麻酔科で勤務していた際、重病の動物たちを目の当たりにし予防医療の大切さを痛感しました。
自身の獣医学の知識と経験をもとにペットを飼育している人たちに向けて正しい情報を伝えていきたいです。
