ヘルマンリクガメは、美しい甲羅の模様と温和な性格でペットとして人気の高いリクガメです。
本記事では、ヘルマンリクガメの特徴や生態をはじめ、必要な設備や飼育環境、食事、日頃のお世話、かかりやすい病気まで、初めて飼育する方にも分かりやすく解説します。
もくじ
ヘルマンリクガメとは
ヘルマンリクガメ(Testudo hermanni)は、イタリアやギリシャ、バルカン半島など南ヨーロッパに生息するリクガメです。黒と黄色のコントラストが美しい甲羅が特徴で、ペットとして人気の高い種類のひとつです。
成体の甲長は約20センチ前後と比較的小柄で、リクガメの中では飼育しやすいサイズです。温和で活発な性格をしており、飼い主にも慣れやすい一方で、歩き回ったり穴を掘ったりする行動が盛んなため、十分な運動スペースを確保することが大切です。適切な環境で飼育すれば50年以上生きることもあり、長く付き合えるパートナーとして親しまれています。
分類:チチュウカイリクガメ属
体長:15~20cm
体重:2〜4kg
寿命:30〜50年
ヘルマンリクガメの特徴
見た目の特徴
ヘルマンリクガメは、黄色や黄褐色の甲羅に黒い模様が入る、コントラストのはっきりした美しい見た目が特徴です。個体によって模様の入り方は異なり、一頭ごとに異なる表情を楽しめます。
甲羅はやや丸みがあり、頭部や四肢には黒や茶色のうろこが見られます。また、尾の先端に角質の突起(スパイク)があることもヘルマンリクガメならではの特徴のひとつです。
ギリシャリクガメとの見分け方
ヘルマンリクガメとギリシャリクガメは見た目がよく似ていますが、いくつかの特徴を確認することで見分けることができます。
まず、臀甲板とよばれる尾の真上の甲羅に注目してみましょう。ヘルマンリクガメの臀甲板は2枚ですが、ギリシャリクガメの臀甲板は1枚となっています。
次に、尾の先端を確認します。ヘルマンリクガメには角質の突起(スパイク)がありますが、ギリシャリクガメにはありません。
さらに、後ろ足の付け根も見分けるポイントです。ギリシャリクガメには後ろ足と尾の間に「突起状のうろこ(蹴爪)」がありますが、ヘルマンリクガメにはありません。
生態・行動の特徴
ヘルマンリクガメは、南ヨーロッパのやや乾燥した草原や低木林などに生息しています。そのため、飼育する際も過度な湿気を避け、風通しのよい環境を整えることが大切です。
性格は比較的温和で、人に対して攻撃的になることはほとんどありません。個体差はありますが、飼育を続けるうちに飼い主の存在に慣れ、落ち着いた様子を見せることもあります。
また、穴を掘る習性があることも特徴です。野生では休息したり、暑さや寒さを避けたりするために土を掘って過ごします。飼育下でも床材を掘る様子が見られるため、体が潜れる程度の床材を用意してあげると、自然な行動を促すことができます。
ヘルマンリクガメの飼育方法
ここからは、実際にヘルマンリクガメを飼いたい人のために、具体的な飼育方法を解説していきます。
飼育環境
ヘルマンリクガメが健康で快適に過ごせるよう、必要な設備や環境づくりについて解説します。
必要な設備
| 設備 | 役割・選び方 |
|---|---|
| ケージ | 爬虫類用のガラス製、アクリル製、木製のケージがあります。成体は90cm以上を目安に、十分な床面積を確保しましょう。 |
| 保温球 | ケージ内を保温し、適温を維持するために使用します。夜間も点灯し、年間を通して温度管理を行います。 |
| UVBライト | 紫外線(UVB)を照射し、ビタミンD₃の生成を促してカルシウムの吸収を助けます。健康な甲羅や骨の形成に欠かせません。 |
| バスキングライト | 日光浴を再現し、体温調節のためのホットスポットを作ります。 |
| パネルヒーター | ケージの床下の一部に設置し、保温を補助します。ケージ全面ではなく一部のみを温めることで、カメが自分で最適な温度帯に移動できるようにします。 |
| 床材 | 歩きやすく、保温・保湿性のあるものを選びます。ヤシガラを主成分とした床材など、穴を掘りやすい素材がおすすめです。 |
| シェルター | 安心して休める隠れ家です。体がすっぽり隠れる大きさのものを選びましょう。 |
| 水容器 | 水分補給のために設置します。容器が深いとからだがひっくり返る恐れがあるため、浅い容器を選びましょう。 |
| フード皿 | 浅めで食べやすく、ひっくり返りにくい安定性のあるものを選びます。 |
| 温湿度計 | ケージ内の温度・湿度を確認し、適切な飼育環境を維持するために使用します。 |
| 石(バスキングストーン) | バスキングライトの下に設置すると熱を蓄えやすく、体を温める場所として利用できます。表面が滑りにくく、安定したものを選びましょう。 |
ケージのレイアウト例
ケージ内には、ヘルマンリクガメが自分で過ごしやすい場所を選べるよう、暖かい場所と比較的涼しい場所を分けて作ります。バスキングライトと石はケージの片側にまとめ、体を温めるためのホットスポットを設けましょう。反対側にはシェルターや水容器を置き、光や熱を避けて休める場所を確保します。バスキング設備を一方に寄せることで、ケージ内に温度勾配を作りやすくなります。
UVBライトは、ヘルマンリクガメが日中に活動する範囲へ紫外線が届くように設置します。バスキングライトと完全に離すのではなく、体を温めながらUVBも浴びられる位置関係にするとよいでしょう。
床材は、穴を掘る習性を考慮し、5~10cm程度の厚みを目安に敷きます。水容器とフード皿は、ヘルマンリクガメが利用しやすい場所に設置しましょう。周囲に十分なスペースを確保することで、スムーズに水分補給や食事ができます。
温湿度計は、バスキングライトの真下を避け、普段過ごす高さに設置します。パネルヒーターを使用する場合は、床面全体ではなく一部だけを温め、製品の使用方法に従って設置しましょう。
環境管理
ヘルマンリクガメを健康に飼育するためには、適切な環境管理が欠かせません。温度や湿度、紫外線を適切に管理することで、本来の生態に近い環境を整え、健康維持につながります。
温度・湿度管理
ヘルマンリクガメは変温動物のため、自分で体温を一定に保つことができません。そのため、バスキングライトや保温球、パネルヒーターを使用し、ケージ内を適切な温度に保つことが大切です。夜間はバスキングライトを消しますが、保温球やフィルムヒーターはつけたままにして適温を維持しましょう。
ヘルマンリクガメは、やや乾燥した環境を好むため、湿度は40~60%を目安に管理します。乾燥しすぎや湿気がこもりすぎる環境は避け、温湿度計でこまめに確認しながら、水容器や必要に応じた霧吹きで調整しましょう。
| 項目 | 目安 |
|---|---|
| 日中の温度 | 26~30℃ |
| ホットスポット | 35~38℃ |
| 夜間の温度 | 20~25℃(20℃を下回る場合は保温) |
| 湿度 | 40~60% |
紫外線管理
ヘルマンリクガメは日光浴を必要とするリクガメです。紫外線(UVB)を浴びることでビタミンD₃が生成され、カルシウムの吸収が促されるため、健康な甲羅や骨の形成につながります。
室内ではUVBライトを1日10~12時間程度点灯し、自然環境に近い昼夜のリズムを再現しましょう。また、UVBライトは点灯していても紫外線量が徐々に低下するため、メーカーが推奨する交換時期を目安に定期的な交換が必要です。
夏の間は屋外で日光浴をさせるのもおすすめです。自然の紫外線を浴びながら運動できるため、健康維持にも役立ちます。ただし、脱走や熱中症を防ぐため、必ず目を離さず、日陰も確保したうえで行いましょう。
食事管理
ヘルマンリクガメは草食性で、葉野菜を中心とした食事が基本です。主食となる野菜を中心に、さまざまな野菜や野草を組み合わせ、栄養が偏らないように与えましょう。また、カルシウム不足を防ぐため、カルシウム剤を定期的に添加することも大切です。
| 項目 | 内容 |
|---|---|
| 主食となる野菜 | 小松菜、大根の葉、かぶの葉、モロヘイヤ、チンゲンサイ、水菜など |
| 副食になる野菜 | リーフレタス、サニーレタス、キャベツ、サラダ菜、トマト、キュウリ、にんじん、オクラ、カボチャなど |
| 与えられる野草 | タンポポ、オオバコ、ハコベ、ノゲシ、クローバー、ナズナ など |
食事は1日1回、午前中に与えましょう。寝る前の夕方以降に与えると、食べ物を消化・吸収できず、胃腸のはたらきが悪くなる可能性があります。
与える量は、基本的にはその日のうちに食べ切れる量を目安にします。食べ残しが続く場合は量を調整し、便の状態や体重の変化を確認しながら、それぞれの個体に合った量を与えましょう。
なお、ヘルマンリクガメは嗜好性が高く人工飼料もよく食べますが、人工飼料だけでは健康を維持することはできません。野菜や野草を中心とした食事を基本とし、不足する栄養を補う目的で人工飼料を取り入れるとよいでしょう。
水はいつでも飲めるよう、毎日新鮮で清潔なものを用意してください。
与えてはいけないもの
- 肉や昆虫(基本的には与えない)
- 人間の食べ物・加工食品
- ケシ科・ヒガンバナ科・サトイモ科などの毒性がある植物
- 安全性が確認できない野草
日頃のお世話
ヘルマンリクガメを健康に飼育するためには、毎日のお世話を習慣化することが大切です。朝・夕方・夜のタイミングで、それぞれ必要なお世話を行いましょう。
| 時間帯 | お世話の内容 |
|---|---|
| 朝 | ・バスキングライト、UVBライトを点灯する ・新鮮な水に交換する ・食事を与える ・夏場は必要に応じて屋外で日光浴をさせる |
| 夕方 | ・食べ残しを片付ける ・排泄物を取り除く |
| 夜 | ・バスキングライト、UVBライトを消灯する ・温度が下がりすぎていないか確認する |
ヘルマンリクガメのかかりやすい病気
ビタミンA欠乏症
ヘルマンリクガメは、ビタミンAが不足すると「ビタミンA欠乏症」を発症することがあります。主な症状として、まぶたの腫れや目が開きにくくなる、食欲不振、鼻水などが見られます。予防には、ビタミンAを含むさまざまな野菜や野草をバランスよく与えることが大切です。
呼吸器疾患
ヘルマンリクガメは、低温や高湿度、不適切な飼育環境が続くことで呼吸器疾患を発症することがあります。主な症状として、鼻水や開口呼吸、くしゃみ、食欲不振などが見られます。症状が進行すると肺炎を引き起こし、命に関わることもあります。予防には、適切な温度・湿度を維持し、ケージ内を清潔に保つことが大切です。
保険金お支払い例
※過去の当社への保険金請求データをもとに、シミュレーションした事例です。
※下記の診療費等のデータは一例であり、一般的な平均・水準を示すものではありません。
- 病名
- 肺炎
- ペット品種
- カメ
- 事故年齢
- 1歳
- 加入プラン
- いつでもパックプレミアム
診療費合計:54,450円
給付率:79.3% 自己負担率:20.7%
- 給付事例の詳細はこちら
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保険金種類 診療費用 保険金支払額 自己負担 自己負担の内容 通院1日目 15,950 10,000 5,950 限度額超過 通院2日目 8,800 8,800 0 通院3日目 12,650 10,000 2,650 限度額超過 通院4日目 12,650 10,000 2,650 限度額超過 通院5日目 4,400 4,400 0 合計 54,450 43,200 11,250
肺炎のヘルマンリクガメが治療のため5日間通院をしたところ、54,450円の診療費用となりました。当社ペット保険のプリズムペット いつでもパック プレミアムプランに加入していた場合は、43,200円の保険金が支払われ、自己負担は11,250円です。
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ペットには人間と違って公的な健康保険制度がなく、病気やけがの診療費は全額飼い主さまの自己負担です。
「ペットは言葉で伝えることが出来ません」
ペットの何気ない変化を見逃さず、動物病院へ足を運んでいただき、けがや病気の早期発見・早期治療につながるよう、ペット保険をお役立てください。

監修者プロフィール
獣医師 藤沼 淳也
獣医学部卒業後、動物病院にて臨床業務に従事。
猫専門病院の院長を経て、現在はより良いペットの生活環境の構築に尽力。
