もくじ
【騎乗の戦士】という意味を持つキャバリア・キング・チャールズ・スパニエルは、犬種名のとおりエレガントでとても勇敢な犬です。長く豊かな飾り毛をなびかせて歩く姿は、オシャレで気品が漂います。
今回のコラムでは、そんなエレガントな犬、キャバリア・キング・チャールズ・スパニエルの魅力をご紹介します。
キャバリア・キング・チャールズ・スパニエルの歴史
キャバリア・キング・チャールズ・スパニエルは、よく似たキング・チャールズ・スパニエルから派生した犬種です。このスパニエルの元となった犬種と考えられているのが、スプリンガー・スパニエル・タイプの小型犬で、イギリスには何百年も前から存在していたそうです。
スパニエルは鳥猟犬として活躍していましたが、小さなサイズの個体は鳥猟犬としては不向きな存在だったそうです。しかし、小さいサイズの犬たちは、愛玩犬として可愛がられ【生粋の伴侶犬】と呼ばれるまでになりました。小さいサイズのスパニエルは、スコットランドのメアリー女王の寵愛を受け、イングランド王チャールズ2世の人目をはばからぬほどの溺愛により、犬種名に【チャールズ】が付いた程です。
キング・チャールズ・スパニエルは、キャバリア・キング・チャールズ・スパニエルに比べると、鼻ぺちゃでドーム型の頭をしており、似ているようで異なった印象を感じさせます。
キング・チャールズ・スパニエル今ではマイナーな存在になってしまいましたが、16~17世紀のヨーロッパ上流階級では絶大な人気を誇っていたそうです。
しかし、鼻ぺちゃでドーム形の顔は、スパニエルらしくないという理由から改良が進み、現在のスタンダードであるキャバリア・キング・チャールズ・スパニエルが1945年にイギリスのケンネルクラブに登録されました。その後、あっという間にチャールズ・スパニエルの人気を追い越し、現在に至るのです。
キャバリア・キング・チャールズ・スパニエルの性格と特徴
キャバリア・キング・チャールズ・スパニエルは、全体的に明るく穏やかな性格の持ち主のため、初心者でも飼いやすい犬種として知られています。また、攻撃性も低いため他の犬とのケンカも少なく、吠えることもあまりありません。多頭飼いにも向いています。
キャバリア・キング・チャールズ・スパニエルは物覚えがよくしつけもしやすいため、苦労することはあまりないかもしれません。しかし、しつけがしやすいからと言って甘やかしてしまうと、返って関係がうまくいかなくなる場合があります。適度な距離感を大切にしながらしっかりとしつけは行いましょう。
穏やかな性格ですが、運動することは大好きです。できれば、散歩は毎日20~30分程行うようにしましょう。
キャバリア・キング・チャールズ・スパニエルの毛色
キャバリア・キング・チャールズ・スパニエルの毛色は、全部で4種類あります。
ブレンハイム
鮮やかな茶色のマーキングは、パール・ホワイトの地色に分布しているのが特徴です。また、耳の間にひし形の斑(ロザンシュ)があると、非常に価値があると言われています。
トライカラー
ブラック・ホワイト・褐色のタンという3色で成り立つ毛色です。ブラックとホワイトの境目は明瞭で、両目の上・耳の裏・足・しっぽの裏側に、タンのマーキングがあるのが特徴です。
ブラック&タン
ブラックの部分は、ツヤがあり漆黒とも言えるほどです。トライカラー同様に、両目の上・耳の裏・足・しっぽの裏側に、タンのマーキングがあるのが特徴です。
ルビー
全体が鮮やかなレッド一色なのが特徴で、キャバリアとしては一番珍しい毛色です。
キャバリア・キング・チャールズ・スパニエルのかかりやすい病気
キャバリア・キング・チャールズ・スパニエルを飼ううえで知っておかなければならないのが、【心臓病】になりやすい犬種ということです。
4歳以上のキャバリア・キング・チャールズ・スパニエルの60%が心臓病にかかると言われています。そのため、キャバリア・キング・チャールズ・スパニエルを飼う=心臓病のリスクと向き合わなければならないということになります。もちろん、心臓病以外にもかかりやすい病気はあるので、どんな病気が多いかは知っておく必要があります。
僧帽弁閉鎖不全症(そうぼうべんへいさふぜんしょう)
キャバリア・キング・チャールズ・スパニエルに1番多い心臓病です。左心室と左心房の間にある僧帽弁が、本来送り出すべき血液を逆流させてしまうことにより起こってしまう病気です。僧帽弁閉鎖不全症は、一度発症すると生涯に渡り投薬を続ける必要があります。
外耳炎
キャバリア・キング・チャールズ・スパニエルは、耳が垂れているため耳の中が蒸れやすく、定期的に耳掃除を行わないと、外耳炎を引き起こす可能性があります。耳の臭い・赤み・かゆがる姿が見られた場合は、動物病院に連れて行きましょう。
てんかん発作
てんかん発作は、ある日突然けいれん発作を起こす病気で、心臓や呼吸器などの臓器に異常が見られず、脳の障害が原因と言われています。てんかん発作には、全身性のけいれん・よだれ・頭を振る・急に落ち着かなくなるといったさまざまな症状があります。
キャバリア・キング・チャールズ・スパニエルのお手入れ
キャバリア・キング・チャールズ・スパニエルは、ダブルコート(2重毛)で豪華な飾り毛が特徴なため、毎日のブラッシングが必須です。特に、春と秋の換毛期は1日に数回ブラッシングしてあげて被毛の生え変わりのお手伝いをしてあげましょう。
換毛期にうまく毛が生え替わらなかったり、ブラッシングをこまめにしてあげないと、皮膚の炎症が起こり皮膚病を発症してしまうこともあるので注意が必要です。
わが家のキャバリアちゃん
わが家にキャバリアちゃんがやってきたのは、生後4か月の頃でした。
元気もあり食欲旺盛!なのに、散歩に行くと全く歩きません。
「キャバリア・キング・チャールズ・スパニエルは運動が好きなはずなのにどうして?」と思うこともありました。
一緒に暮らしている人見知りな性格のチワワに似てしまったのでしょうか。
しかし、少しずつ散歩に慣れさせ歩けるようになり、今ではお散歩が大好き、人見知りもなくなり天真らんまんなおてんば娘になりました。
わが家のキャバリアちゃんは靴下を誤飲してしまった
わが家のキャバリアちゃんは、生後6か月の頃に大人の靴下を飲み込んでしまいました。
歯の生え変わりの時期ということもありお気に入りの靴下をよく噛んでいました。小さな子供の靴下は飲み込んでしまう可能性があると思い注意していました。しかし、まさか大人の靴下は大きく飲み込まないだろうと思い、いつものように遊ばせていたところ…よく見ると靴下のほとんどが口の中に入っているではありませんか!
慌てて私が口から出そうとした瞬間、とられたくなかったのでしょう、ゴクンと飲み込んでしまいました。靴下を飲み込んだことにより腸閉塞になったら大変です。かと言って、靴下を吐くとも思えずすぐに動物病院を受診しました。
動物病院では、嘔吐を促す注射しましたがなかなか吐きません。フードを食べると吐きやすいということで、獣医さんがフードを食べさせてくれたのですが、それでも吐きません。どうやら吐くことを我慢してしまったようです。結局、その日のうちに全身麻酔をかけ、内視鏡で靴下を取り出してもらいました。
生後6か月にして全身麻酔を経験してしまったわが家のキャバリアちゃん、何かを察したのでしょうか。それ以来、靴下にはあまり興味を示さなくなりました。
健康のためのボディチェックは毎日の日課
キャバリア・キング・チャールズ・スパニエルを飼うときに、家族には「心臓病になりやすいからね!」と念を押しておうちにお迎えしました。
飼うということは、病気というリスクと向き合うということでもあります。そのため、健康管理は毎日欠かさずに行っています。
特に気を付けているのが、食事管理です。肥満は、心臓に負担がかかるため、体重に合った食事を与えるのはもちろん、体を触って適度に背骨や肋骨に触れることができるか・上から見た時に緩やかな砂時計の形をしているかなどのBCS(ボディ・コンディション・スコア)を毎日チェックします。
その他、呼吸がいつもと違うことはないか、胸に手を当てた時の心臓の動きなど、ささいな異常もすぐに見つけられるように心掛けています。
※本記事はキャバリア・キング・チャールズ・スパニエルの飼い主さまの体験談を基に当社経営企画部にて編集構成しております。