【獣医師監修】犬の認知症とは?予防のためにできることや症状・治療を解説

2026.10.26

  • 犬
  • 病気

【獣医師監修】犬の認知症とは?予防のためにできることや症状・治療を解説

犬にも、人と同じように認知症があることをご存じでしょうか。近年、犬の平均寿命は延びる傾向にあり、高齢期を迎える犬も増えています。愛犬と長く健やかに暮らすためには、加齢に伴う病気や体調の変化について理解しておくことが大切です。
この記事では、犬の認知症の主な症状や、予防のために日頃からできること、治療・ケアについて解説します。

犬の認知症とは

犬の認知症は、加齢に伴う脳の変化によって認知機能が低下し、記憶や学習能力、日々の行動などに変化が現れる病気です。正式名称を「犬認知機能不全症候群(Canine Cognitive Dysfunction Syndrome:CCDS)」といい、「CDS」と表記されることもあります。

単なる老化による変化とは異なり、慣れた場所で迷う、睡眠のリズムが乱れるなど、日常生活に支障をきたすことがあります。変化は徐々に現れるため、飼い主が気づかないまま進行することもあります。

現在のところ、完全に治すことは難しいとされています。ただし、早めに気づき、獣医師のもとで治療や食事の見直し、生活環境の工夫などを行うことで、症状を和らげたり、進行を遅らせたりできる可能性があります。

犬の認知症で見られる主な症状

犬の認知症では、行動や生活習慣にさまざまな変化が現れます。代表的な症状は6つのカテゴリーに分けられ、それぞれの英語表記の頭文字を取って「DISHAA」と呼ばれています。

カテゴリー 具体的な症状の例
D:見当識の障害
(Disorientation)
・慣れた家の中で迷う
・壁や家具の前で立ち止まる
・部屋の隅に入り込んで出られなくなる
I:人や動物との関わり方の変化
(Interactions)
・飼い主への反応が乏しくなる
・触れ合いを避ける
・反対に以前よりもそばを離れなくなる
S:睡眠と覚醒のリズムの変化
(Sleep-wake cycles)
・昼間に眠る時間が増え、夜になると落ち着かず歩き回ったり、鳴いたりする
H:排泄習慣や学習した行動の変化
(House soiling/learning and memory)
・トイレの失敗が増える
・以前はできていた指示に応じなくなる
A:活動の変化
(Activity)
・遊びや散歩への関心が薄れる
・目的もなく歩き回る
・同じ場所を行ったり来たりする
A:不安の増加
(Anxiety)
・留守番中に強い不安を示す
・以前は平気だった物音や状況を怖がる
・落ち着きがなくなる

これらの症状が見られたら、「年齢のせい」と見過ごさず、獣医師に相談しましょう。似た症状は、視力や聴力の低下、体の痛み、内臓の病気、脳腫瘍などでも見られるため、原因を確認することが大切です。

SBIプリズム少短の獣医師

気になる行動がみられたら、動画に残していただくのがおすすめです。いつから、どんな場面で、どのくらいの頻度でみられるかをメモしていただくことも、診察の参考になります。

犬の認知症はどのくらいの割合でみられる?

犬の認知症は、高齢になるほど多く見られる傾向があります。2022年に発表された、8歳以上の犬1,079頭を対象とした飼い主への質問票調査(※)では、中等度〜重度の認知機能障害が疑われる犬の割合は、次のとおりでした。

年齢 中等度〜重度の認知機能障害が疑われる犬の割合
8歳以上11歳未満 8.1%
11歳以上13歳未満 18.8%
13歳以上15歳未満 45.3%
15歳以上17歳未満 67.3%

(※)出典:MacQuiddy B, et al. (2022). Assessment of risk factors in dogs with presumptive advanced canine cognitive dysfunction. Frontiers in Veterinary Science. https://doi.org/10.3389/fvets.2022.958488(CC BY 4.0、原著のデータをもとに表を作成)

SBIプリズム少短の獣医師

この数字は質問票に基づくものなので、実際の診療で見られる割合よりも高い印象があります。年齢とともに認知症が増える傾向を知る目安として捉えてくださいね。

犬の認知症予防のためにできること

犬の認知症を完全に防ぐ方法は、現在のところ確立されていません。しかし、適度な運動や頭を使う遊びを日常に取り入れ、健康状態を保つことは、認知機能を維持し、その低下を緩やかにするうえで大切と考えられています。

症状が現れてから始めるのではなく、若いうちから散歩や遊びを習慣にしておくことが大切です。特にシニア期に入るころからは、認知機能の維持も意識し、愛犬の体力や体調に合わせて、生活環境や健康管理を見直していきましょう。

適度な散歩・運動を続ける

適度な運動は、血流を促し、筋力や身体機能を保つとともに、認知機能の維持にも役立つと考えられています。また、散歩中に外のにおいを嗅いだり、さまざまな景色に触れたりすることは、脳への刺激にもなります。

大切なのは、愛犬の年齢や体調に合わせて、無理のない範囲で続けることです。長い距離を歩くのが難しくなったら、距離を短くする、途中で休憩を挟むなど、負担を減らす工夫をしましょう。

においや頭を使う遊びを取り入れる

においを頼りに隠したおやつを探す「ノーズワーク」や、工夫しておやつを取り出す知育玩具などは、楽しみながら頭を使える遊びです。新しいことを覚えたり、においを嗅いで探索したりすることも、脳への刺激になります。

難しすぎる課題は避け、まずは見つけやすい場所におやつを置くなど、愛犬が無理なく楽しめる内容から始めましょう。できたら褒める、遊びながら優しく話しかけるなど、コミュニケーションも大切にしてください。

年齢や健康状態に合った食事を心がける

毎日の食事は、愛犬の年齢や体格、健康状態に合った総合栄養食を基本にしましょう。シニア期には、体重や筋肉量、活動量などの変化に合わせて、食事の種類や量を見直すことが大切です。

認知機能の低下が気になる場合は、脳の健康維持を目的としたフードも選択肢になります。療法食やサプリメントを取り入れる際は、持病や服用中の薬との相性もあるため、自己判断で選ばず、獣医師に相談しましょう。

定期的に健康診断を受ける

特にシニア期に入ったら、定期的に健康診断を受け、体の変化を把握しましょう。認知機能の変化に早く気づいたり、似た症状を引き起こすほかの病気を見つけたりすることに役立ちます。

認知症に似た症状は、体の痛みや視力・聴力の低下、内臓や神経の病気などでも見られます。受診時には、体調だけでなく、行動や生活リズムの変化も伝えましょう。「年齢のせい」と決めつけず、小さな変化のうちに相談することが、早期の対応につながります。

犬の認知症の治療

犬の認知症は、現在のところ完治が難しく、症状の緩和や進行の抑制、生活の質(QOL)の維持を目的に治療やケアを行います。

診断では、行動の変化を確認する問診表や飼い主さまからの聞き取り、診察を通じて、愛犬の状態を把握します。必要に応じて検査などを行い、似た症状を引き起こすほかの病気がないかを確認します。

さらに、脳腫瘍などの病気を調べたり、脳の萎縮の程度を確認したりするために、専門の医療機関でMRI検査を行うこともあります。こうした検査結果と行動の変化を合わせて、総合的に判断します。

治療では、愛犬の状態に合わせて、薬などを使った内科的治療や食事療法、生活環境の調整などを組み合わせます。不安や夜鳴き、睡眠の乱れには、それぞれの症状に応じて対応し、ほかの病気や痛みがある場合は、その治療も行います。

獣医師と相談しながら、愛犬が安心して過ごせるように治療やケアを続けていきましょう。

保険金お支払い例

※過去の当社への保険金請求データをもとに、シミュレーションした事例です。
※下記の診療費等のデータは一例であり、一般的な平均・水準を示すものではありません。

トイ・プードル13歳10か月 認知症の保険金給付事例
病名
認知症
ペット品種
トイ・プードル
事故年齢
13歳10か月
加入プラン
いつでもパックプレミアム

治療費合計:9,438円

保険金支払額:9,438円

給付率:100% 自己負担率:0%

給付事例の詳細はこちら
保険金種類 治療費用 保険金支払額 自己負担 自己負担の内容
通院(4日間) 9,438 9,438 -
合計 9,438 9,438 0

認知症のトイ・プードルが治療のため4日間通院したところ、9,438円の治療費用となりました。当社ペット保険のプリズムペット いつでもパック プレミアムプランに加入していた場合は、9,438円の保険金が支払われ、自己負担は0円です。

将来の医療費に備えて、元気なうちからペット保険を検討しよう

犬の認知症は、日頃から予防を意識していても、完全に防げるわけではありません。高齢になるほどリスクが高まるため、毎日の健康管理とともに、将来の治療やケアにかかる費用にも備えておくことが大切です。

認知症を発症してからでは、ペット保険への加入が難しくなることがあります。また、加入時の年齢によって選べるプランや補償範囲が異なるため、元気なうちから、通院も含めた補償を検討しておきましょう。

通院・入院・手術を補償割合100%で支えるペット保険

プリズムペットでは、0歳〜7歳11か月の犬・猫が新規加入できる、通院・入院・手術を補償するプランをご用意しています。

補償対象となる診療費は、各プランの補償限度額内で100%補償。通院を重ねる場合や、入院・手術が必要になったときの費用負担を軽減します。

愛犬が元気なうちから、将来の医療費への備えとして検討してみませんか。

犬におすすめなペット保険 プリズムペット

SBIプリズム少短の獣医師 R・H

監修者プロフィール

獣医師 R・H

麻布大学獣医学部獣医学科卒業。
大学の研修医を経て、夜間救急動物病院で様々な動物の診療に従事。
麻酔科で勤務していた際、重病の動物たちを目の当たりにし予防医療の大切さを痛感しました。
自身の獣医学の知識と経験をもとにペットを飼育している人たちに向けて正しい情報を伝えていきたいです。

お役立ち情報、コラム一覧へ戻る